2007年05月04日
残る建築の価値
昨日兄弟の子どものお祝いがあり。長野県佐久市へ出かけました。お祝いが行われた場所は、父親の設計した料亭でした。何度かこの場所に来ているのに、来る度に新しい発見が有りその都度建築の奥深さを感じています。
私の父が亡くなってもう20年になります。57歳で亡くなった父親が残した建築はいくつかあるのですが、その中でもこの料亭は、いまでもオーナーさんに愛されその場所でいきいきと存在しています。
私は、建築設計という仕事を続ける日々の中、亡くなった父親の残したものから、ふと感傷的な気持ちになることがあります。当時父がどんな考えで設計をし、そしてどれほど父が建築を愛していたかが、経験を重ねるほどに私にも少しずつ分かるようになってくるからです。自分の成長にあわせて新しい発見ができる建築は奥が深いなぁ、まだまだ越える事はできないなぁ〜と・・早くにして亡くなった父親からのメッセージを受け取れることがとても嬉しいです。佐久に帰り父親の残してくれた建築をみることは、私の発想や判断の源で、いつも大切なことを教えてもらっています。
人によく「建築は残る仕事でいいですね」と言われます。確かに父親の作品をこうして今でもふれる事ができる。そして仕事を通じて知りあった御施主さんと、父亡き後でもいつまでも良い御つき合いができる。などなどプラスの要素も他の仕事では得る事ができない大きな価値を残せるのですが、逆にその建物が残っていく事で自分に突きつけられる設計監理の職能を問われる事も同じくらいあります。
常にでき上がった建物から自分自身に突きつけれる課題はなくなることはない。と思っています。その建物にどのくらい自分の練り上げたコンセプトや機能そしてデザインを刻めるかは、私たち設計者のテーマであり、この仕事をこよなく愛する人達の共通の思いだと・・・父親の建物にふれる度に思いました。


この料亭の入り口のれんをくぐって入った玄関正面にこの障子の開口部があります。はずかしながら今回初めてこの障子の組子のデザインが上と下で違う事を発見しました。また新しいなぞなぞを父から与えられた。。とこのなぞ解きにわくわくしながら美味しい食事と建築に満たされた一日を過ごしました。
*手元にデジカメがなく持っていた携帯のカメラで撮った写真です。なんともアングルも悪く斜めの映像で、ピントもぼけている写真ですが、お赦し下さい。^^:
2007年03月15日
土地に絡む話
みなさんは「買い主責任」という言葉をご存知ですか?アメリカでは「デューデリジェンス」=「不動産の購入、投資において不動産の適正な投資価値を把握するための調査。物理面、権利面さらには不動産マーケットなどの経済面から、現在または将来発生するであろうあらゆるリスクやメリットを詳細且つ多角的に調査すること。」と用語の説明はあります。
http://www.home-knowledge.com/tpc/topic16.html#02
日本では、購入した不動産に欠陥、瑕疵があった場合は原則、売主がその責任を負うこととされています。例えば、購入した土地に有害物質が含まれていたような場合には、売主に修繕や土地の浄化を求めることが可能です。(例外として瑕疵担保責任を排除する場合もあります)このようなことから、買主は積極的に不動産に関する調査や売主に対しての情報公開を求めませんでした。また、かつては不動産価格が右肩上がりで上昇していたため、不動産の値上がり益が結果的に不動産のリスクをある程度カバーできていたのです。
それが昨今では地価下落と不況により、多くの企業が生き残りのために保有不動産の売却を進めています。そのような経済環境の中で、今までのように売主に瑕疵担保責任を追及することが事実上、難しくなってきました。
また、地価の上昇も望めない現在では、不動産の収益性に着目した不動産投資が注目されています。つまり、不動産から生まれる収益が不動産の価値を左右する時代になってきたのです。収益を確保し、上手な投資をするためには、購入(投資)前に将来予想されるリスクをある程度、把握しなければなりません。
このような背景の中で、日本でも投資家の視点から不動産に関してさまざまな角度から調査する「デューデリジェンス」が浸透し始めているのです。
これは投資家や企業だけにとどまらず一般の個人の土地購入者にも言える事だとしみじみ最近は感じています。
私の仕事は、建築設計の仕事なのですが、土地の購入から関わる事も多く、また改築改修工事等であらためて確認申請を必要する物件などでは、現行の法律で立て替えが「土地の椄道義務」を果たしていない事等により建替えできない。といった物件も少なくありません。かつて新築時に土地を購入するときの慎重な確認業務がされてない事でこうしたことが起きています。個人どうしの売買または、宅建業者に何もかもお任せということでは自分の財産である不動産を守ることがとても難しい。ということを感じます。あまりにもトラブルが実際あるのです。
泣き寝入りなんて言う言葉は極端ですが、もっと個人の皆さんもこうした知識を身につけるべきだと思いました。また専門家についても調べ、自分たちの足で調査をして適切な専門家に仕事をお願いしなければ、確実な財産を手に入れる事は難しい時代になっています。
是非お施主さんたちも「買い主責任」ということを改めて自分たちの課題にしてほしいと、考えるこのごろです.
2007年02月02日
住宅設計
先週の週末ASJ長野スタジオのイベントに出席し、住宅の相談を受けました。
住宅という「人の棲む場所」の空間づくりの難しさを改めて噛みしめています。建て主さんたちは、希望や夢は計り知れなくあり、私はできるだけその要望を叶えてあげられる空間を提案する。そしてハード・ソフトともにバランスの良い設計を予算の中で組み立てる。いつも私は最初にまず、敷地図面の上、左側に条件を、そして右には施主の希望を箇条書きに書き出します。その間の部分に「テーマ」を考えるのです。この住宅の核になるテーマを長い時間をかけて考えます。施主の要望の背景も考えます。それは建て主さんの年齢によって違ってくるのですが・・最近子育てが終って第二の人生を考える機会に老後のバリアフリーを踏まえた住宅改修または改築相談も多いこともあってなのです。今までの人生はどんな日々だったのだろうという事をできるだけお聴きして、これからの人生により幅がでるライフワークの拠点になる住宅を提案したいと思っています。とくに最近悩むのは、温熱環境のシステムのセレクトも重大な住宅環境のテーマだと思ってます。竣工して引き渡しをしたあと、満期検査で御宅に伺う時は、いつも自分の設計が合格だったのか?ということもあわせて自分の検証になるのでけっこう心臓がばくばくしたりするのです。自分の考え以上に充実した人生を送られている建て主さんに会えることを自分で楽しみになるくらい今後も日々仕事を楽しく励みたいと思います。^^:
2007年01月10日
本年も宜しくお願い致します
何年ぶりかでゆっくりとしたお正月を過ごす事ができました。本年も宜しくお願い致します。
昨年設計を進めてきた住宅2件が暮れに無事に施工契約となり、今年は現場がスタートします。設計事務所登録をしてはや11年が過ぎます。住宅の設計期間は基本設計・実施設計と進んでだいたい一年ぐらいかかってしまうのが平均です。
たまに施主さんの個人的な事情から竣工を急がれる物件がありますが、設計事務所にほとんど頼む方はじっくりと設計期間をもって新築または改築の検討で仕事を依頼されます。一年という期間は長いようですが季節の歳時事の確認や一年間の温熱環境の変化を確認する事ためにも、どうしても一年は最低でも必要な期間だと改めて思いました。住まいは棲む方の拠点であり原点になるように思います。設計の期間に施主さんの人柄や家族構成そして背景的な諸々を確認させて頂きながら、新しい住まいにより幅や奥行きのあるライフスタイルを自分が関ってご提案できるかが自分の仕事だと思っています。今年もまた新たな出会いがあり、仕事をさせて頂ける事を感謝して進みたいなと思いました。
2006年12月06日
リフォームー玄関


ブログをなんとか書き綴りたいと日々いつも思うのですが、活字とはなかなか仲良くなれないと思う年末です。
今年は長野の中心市街地での「まちづくり活動」を仕事と平行にやり始めてしまい自分の仕事メインは、建物の設計監理業務なのか?まちづくりワークショップなのか?と分からなくなってきています。
先日玄関ホールのリフォームの仕事をさせて頂きました。予算や動線そしてその住宅の「顔」でもある玄関ホールのデザインは施主とも何度も試行錯誤し、図面も何枚も描きました。18畳ほどの玄関ホールをかつての面影をひとつも残さず改修しました。
仕上げには大理石・御影・珪藻土と階段は鉄骨のシースルー階段で柔らかい曲線を強調して仕上げました。建具は地元の建具屋さんが初めての大仕事と気合をいれて組子づくりに奮闘して制作してくれました。
今月 施主のところに暮れの挨拶に伺うときにこの玄関ホールは私をどう迎えてくれるのか。と少しどきどきしたりしています。
2006年08月13日
住宅コンペ


先日北海道に行きました。あまり時間が無かったのですが・・「モエレ沼公園」http://www.sapporo-park.or.jp/moere/に行くことができました。
イサム・ノグチが亡くなるまで設計に携わった「札幌市環状グリーンベルト」構想の北部系緑地の核となる都市公園です。
かつてゴミ処理場として利用した後、1982年(昭和57年)から公園造成が始まったものです。去年?ガラスのピラミッドが完成したと聞きました。ここはとても不思議な空間です。でも病みつきになる魅力があります。回りには多くのスポーツ施設があり家族連れでにぎわっていました。そして・・とても近未来的な噴水が真ん中あるのです。この噴水ショーにもびっくりしました。非常に芸術性の高い空間にいることをひしひしと身体で感じました。
タイトルとどこが関係あるのか?というような書き出しなのですが、先日知人の設計士と住宅コンペになり、盆前にプランを提出しました。
自分で設計事務所を開設して住宅コンペは初めての経験です。このコンペで自分の中で葛藤した事のひとつに住空間の質をどう高めるか?ということがテーマでした。「モエレ沼」で感じたような精神性の高い空間を自分の設計した空間で表現することができるのか?と悩みました。住宅はそこにすむ人の生活空間ですが、設計者に設計を頼んだという価値をきちんと施主に提示できるのか。これはとても大切な事だと今回コンペになった事で改めて思いました。各々の設計士が出した案は異なる空間の提示になります。その2つのプランから施主がひとつ選択をする。自分たちのこれから終の住まいとなる建物の空間を設計してくれる相手として設計者選ぶ事になる。私が今までの経験を総動員して「住まい」となる空間に対してのプラン提示は自分以上の空間にはなれない事を痛感しました。
モエレ沼公園の偉大さに敬服しました。
2006年04月04日
ペレットストーブ
先日ペレットストーブの工場見学がありました。と下書きを書き始めてそのままになっていました。なかなかブログも習慣にならないと・・文章を書くことは構えてしまいます。
先週 4/1.2 長野で「ASJーアーキテクトスタジオジャパン「建築家ネットワーク」というサプラチェーン・マネジメント イベントがありました。そこで伊那のペレットストーブのある住宅をパネル展示していて、来場されたお客さんから「ペレットストーブ」の具体的な説明を求められることがけっこうありました。皆さんよく知ってるんだなぁーと実は感心したのが本音です。でもどうして知られているのに普及しないのか?「ペレットって間伐材の粉なんでしょ?」とか「薪ストーブと一緒でしょ?」・・「手間がかかって光熱費がかさむのよねー?」などと聞かれました。なるほど皆さんは記事や雑誌などでは読み。知識として知っているけど実際の空間の中で機能している状態は知らない。難しいなと思いました。ペレットは薪よりは、はるかに扱いやすくまた光熱費も灯油炊きのFFストーブより気持ち高い程度費用で維持できます。
そして何といっても薪ストーブやこのペレットストーブの醸し出す「火」のある生活の価値をもっと身近に感じてもらえればいいのにと実感しました。私の住宅の理想は、住宅の室内環境に、外部環境を工夫しながら取り込んで五感を刺激する住宅を設計したいといつも思っています。人は日々の生活が基本です。せっかく四季のある日本で住むのですからその四季折々の環境変化を愉しみながら人生を謳歌してほしいと思いました。
2006年03月13日
ストーンスパ vol2

先日オープンしたストーンスパで、プロの広告用カメラマンが入りました。そこでこちらにも写真を頂ける事になりさっそくブログにアップとなりました。
先日のセレクトした家具やセッティングした黒板等が写っているここが一階の「オーガニックカフェ Calm」です。
肉や魚・動物性の油等はいっさい使用しないカフェです。西側開口部のためかなり西日が気になるのと、座席を三角の平面の中にいかに多く入れるかが課題でした。窓際のカウンターか゛直接道路に接しているため中でお茶を飲んでいる女性が外からの視線を意識しないでゆったりとお茶を飲んでもらうためにはどうするか?ということもありこの写真の格子を設置しました。私は去年から縦格子をよく使ってしまうのですが・・この格子のサイズ・空きの間隔等でかなり雰囲気は様々です。今回の建物は三角形の形をしていることで、スペースの有効利用が問われました。またその問題を解決するために、ほとんどの家具が作り付けとなってしまいました。こういう事はダイレクトに予算にも響きます。また空間を広く見せる工夫もいる。貴重な経験になったと改めて出来上がった写真を眺めながら・・・ほっと一息つく事ができました。
2006年02月22日
ストーンスパ

ストーンスパ「ROYAL BEAUTE」が今月初めに竣工引き渡しを終えました。
長野駅前に自分の関わった物件がある。ということをやっと実感しました。心から末永くこの場所に残ってほしいと願います。今回はこの建物の内部のインテリア家具・小物・額もの・装飾品…等々全てに渡って準備する仕事でした。7年ほど前
にもマンションのモデルルームの内装という仕事をした時小物や家具・タペストリー・絵などセレクトさせてもらいましたが・・こういう仕事も余裕がある時には金額の枠の中で掘り出し物を見つける楽しみがあるのですが・・仕事に追われているとなかなか探す手間や時間が生まれてこない。カタログからだけではどうしても選べないものもあり、たいへんきりきりする思いになりました。それでも今回どうにか助かったのは「アクタス」というメーカのショップが去年の暮れから長野にできた事でとても助かりました。
実はこうした小物も大事な建築要素で自分の狙った空間の雰囲気の脇役でもあります。もちろん最初から飾るものが決まっていることから設計がそれとコラボする場合もありますが・・今回は後からの依頼でもあり・・最後のドタバタの中で苦戦を強いられた事も否めないです。お近くの方は良かったらお立ち寄りください。但し…男性の方は1階のみの入館なのです。1階に小さなオーガニックカフェがありますので・・ぜひそちらで美味しい(ROYAL BEAUTEになる)コーヒーを飲みにいらして下さい。^^!
2005年11月22日
高齢者住宅
先月相談された物件は、70歳代おばあさんの一人暮らしの住宅をリフォームし、安全で快適な住まいにしたい。ということを実の娘さんが希望されて話を聞きました。
お宅に伺ってさっそくおばあさんにあったところ「どこもいじらなく良いですよ」「私は一人で十分今でも快適に暮らしています」と言われてしまい慌てました。
確かに木造2階建て築35年の建物はしっかり建っていて建具の狂いもなく床の一部がきしむ程度で問題はない。といえばないのですが・・・暮らし方がとても気になりました。一人住まいのお年寄りは誰も気兼ねする事がないので自分の思うままの暮らしを日々快適?に暮らしている。但しそれは健常な状態という条件付きのものです。キッチンは北東の角にありとても寒いらしく所狭しと積み上げられた食材の中にファンヒーターが置いてあったり、寝室をまだ2階にしているということで急な階段を上がった脇の寝室は洋服が全ての壁に吊られていたりしていました。確実に身体的衰えが生活に反映している状態でした。「夜中はトイレには行かれますか?」と聞いたところ「1〜2回は行きますよ」と・・「できたら寝室をそろそろ下にされては如何ですか?」と遠慮しながら言ってみました。「私はまだまだぼけてないし足腰もダンスに通っているくらいしっかりしています」と少しむっとされ、これは困ったなぁーと思いながら相談者の娘さんの顔を見るとウィンクで返されてしまいました。^^:
こうして現地の状態をみたりご本人とお話をして、念のためにと床下を調査したところ・・・この写真のーこれからいっきにシロアリが土台を蝕むーという寸前でした。みごとな跡をしっかり撮る事ができてびっくりしました。
この写真だけでリフォームを説得するわけにもいかないのですが・・「家に手を入れる」というタイミングはとても大事な事と改めて思いました。まして高齢者住宅は具合が悪くなってリフォームというわけにはいかないので、元気なうちにお年寄りが何をきっかけに重たい腰を上げてもらえるか?確かに住み慣れた家をいじられる=生活を変えられる。ということに年をとるほど人はいやがります。頭も体も慣れるまでに負担がかかるからです。そうしたリスクを背負ってでも「事故のおこらないためのリフォームする」ーという意義を本人が納得するにはどうしたらいいのか?ということの難しさを改めて考えました。
続く・・・
2005年09月25日
最近の物件
久しぶりの大型物件だったので緊張したのですが、無事に引き渡しになりほっと一段落です。
1階が店舗 2階・3階が住宅という店舗併用住宅です。敷地が、四方に山並みの見える場所で、住宅内部の開口部にはそれぞれの方位からみえるロケーションを大事にし楽しんでもらえる設計にしました。
内部の写真はまだとってないのですが・・10/01 0penにむけて今1階店舗の内装工事をしています。










